「農業って、どのくらい稼げるの?」
わたしの新規就農に興味を持ってくれる友人たちによくこう聞かれます。
けれど、この質問ってあんまり意味がないんですよね。なぜなら、自営業の場合、稼ぎに天井はないですから。
答えは「いくらでも」。こうなっちゃいます。
わたしも会社員でしたので、同じ疑問を抱きました。けれど、実際に新規就農を目指すなら、まずはこの考え方から抜け出す必要があります。
サラリーマンにとっての「稼ぎ」
サラリーマンの場合、年齢を重ねるにつれて給料が上がります。
役職の有無によって差は出るものの、だいたい一定のペースで上がっていくため、同世代の人たちは同じような給料をもらっている場合が多いです。
就職活動をしているときは給料の違いに目を向けますが、ひとたび入社してしまうと「まぁこんなもんだろう」と興味が薄れていきます。
サラリーマンにとって、給料は“固定的な存在”だからです。
だから、自分の待遇に不満がある場合、より高い給料をもらえる会社に転職できないかを考えます。
その延長線上で、「じゃあ、農業を仕事にした場合はどうなんだろう」➔「農業って、どのくらい稼げるの?」という質問となるわけです。
自営業は稼ぎをコントロールできる
しかし、自営業(フリーランス)は違います。
たとえば、「独立起業して会社員時代の年収を超えてみせる!」と息巻いて、稼ぎまくることもできます(成功するかどうかは別として)。
一方で、「土日だけ働いて、あとは休みにしよう」と、とことんのんびり暮らすことだってできます(それで生きていけるかどうかは別です)。
これが、雇う側と雇われる側の根本的な考え方の違いです。つまり、自分たちで稼ぎをコントロールできるわけです。
稼ぐだけなら会社勤めの方が楽
ただ稼ぐだけなら、会社勤めの方が楽だと思います。
会社という組織の中で、部署ごとに役割分担がなされ、その一員として働くわけです。
任された仕事を無難にこなしていれば、毎月決まった日に一定の給料が振り込まれてきます。
自営業だと、そうはいきません。収益を上げなければ、お金は減るばかりです。
朝決まった時間に起きなくてもいいし、理不尽な上司の命令に従わなくてもよくなる代わりに、すべて自分の責任で決めなければなりません。
稼ぎのことだけを考えたら、新規就農はおすすめしません。
「自由が得られるなら、すべて自分で引き受けてもいい」くらいの気概は必要です。
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最低限いくら稼ぐ必要があるかを考えよう
それでもなお「新規就農したい!」という方は、まずはここから考えてみてください。
それは、「自分たちは生活する上でどのくらいのお金が必要なのか」ということ。
農業は、基本的に、収量×単価で売り上げが決まります(直販かJA出荷か、秀品率がどのくらいか、などにより増減はあります)。
だから、最低限いくら稼がなければならないかという目安が分かれば、どのくらいの広さの農地が必要になるかということが決まってきます。
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ほら、どうでしょう。「農業って、どのくらい稼げるの?」という質問に違和感を覚えませんか。
お金は降ってくるわけじゃありません。
「どのくらい稼げるか」じゃなくて、「どうやって稼ぐか」を考え始めていたら、あなたはもうサラリーマン的思考から抜け出しています。
お読みいただき、ありがとうございました😊
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