先立つものは、やはり、お金。「一体いくら用意したらいいのか」。これが一番、気になりますよね。
夫婦で果樹農家になるべく研修を受けているわたしの場合は、会社員生活を続けて開業資金を貯めることはせずに、決断してからそっこーで退職しました。
新規就農は「起業」ですので、手持ち資金はあるならあるだけいいです。ただし、「そんな大金用意できないからあきらめよう」というのはもったいない気がします。
というのも、支援制度を上手に活用しながらステップを踏んでいくことで、新規就農は実現できるからです。
それでは、詳しく解説していきましょう。
先立つものは、やっぱりお金
農業を始めるにあたり、最低限必要なものを用意するには、お金がかかります。
「地方なら農地は有り余っているでしょう」とお思いかもしれません。たしかに、その通りです。
けれど、縁もゆかりもない土地で、いきなり無料で土地を貸してもらうというのは現実的ではありません。
むしろ、地元の農家さんと比べたら、信用力がない分、割高で借りなければならないということもあります。
他に、種や苗代もかかります。栽培手法によっては、ハウスやトラクターなどが必要になるでしょう。
やっぱり、先立つものはお金、なんですね。
恵まれた支援制度:当面の生活費さえあればOK
しかし、ありがたいことに、新規就農者は支援制度に恵まれています。
まず、研修中の生活費(年150万円)が支給される「準備型」と呼ばれる補助金(正式名称は「農業次世代人材投資資金」)があります。
支給の要件については 、以下の記事でまとめました。よろしければ、ご覧ください。
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新規就農をしてから5年間は、「準備型」と対になっている「経営開始型」という補助金があります。
こちらは、開業後まもない経営が不安定な期間を経済的に支援してもらえるもので、年150万円(所得に応じた交付金額の変動あり)が給付されます。
こうした補助金を上手く活用すれば、開業資金はまかなうことができます。
これらは国による補助金ですが、このほかにも、さまざまな支援制度があります。
わたしが知る限り、地元のJAが独自にインターンシップ制度(研修手当あり)を設けていたり、農家さんが新卒社会人並みの給与を支給して独立までの面倒を見ていたりするケースもあります。
農業大学校に通いながら、アルバイトをしている人だっています。わたしのように農家さんのところで研修をしていても、パートの仕事なら十分両立できるでしょう。
また、研修という形に縛られず、農業法人に就職して働きながら技能を身に付けることだってできます。
いずれにせよ、当面の生活を維持できるだけの貯金さえあれば、走りながらでもなんとかなっちゃうわけです。
資金集めより大切なのは生活費の把握
資金はいくらあっても足りないので、たくさん貯めるに越したことはないでしょう。でも、逆に言えば、キリがないとも言えます。
「だったら、走りながらでもいいんじゃないか」というのが、わたしの考えです。
一方で、資金集めより大切なことは、自分の生活にどれくらいのお金が必要かをしっかり把握しておくことだと思います。
「当面の生活を維持できるだけのお金」というのは、人によって大きく違います。
例えば、就農候補地に移住して家賃6万円の賃貸物件で生活する人と、就農候補地を実家から通える範囲に限定して研修先に実家から通う人とでは、年間72万円も支出に差が出ます。
家賃のような固定経費の違いは、一年単位でみると、かなりの金額になります。うちは、携帯電話を格安スマホに換えたり、自動車保険を見直したりするだけで、必要な生活費をかなり圧縮できました。
結婚当初は、夫婦で普通車1台と軽自動車1台を所有していました。けれど、経済性を考えて2台とも売却し、軽ワゴン車1台に買い換えました。普通車は維持費の高さがバカにならないからです。
こうした見直しを積み重ねるだけで、生活にかかる費用は驚くほど小さくなります。その割に、生活そのものにはほとんど影響がありません。
仕事と生活が一体的な農業をやる上で、生活の経済性を考えることは、大切なステップになると思います。
まずは、ご自身の生活にどのくらいのお金が必要なのかを、しっかりと見極めてみてください。
お読みいただきありがとうございました😊
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新規就農にまつわるさまざまな疑問にお答えする 「新規就農Q&Aシリーズ」へはこちらからどうぞ:《新規就農Q&A》 カテゴリーの記事一覧 - しょぼい農業で生きていく
「準備型」にご興味がある方は、ぜひご覧ください。こんな記事を書いています。