会社をやめるにあたって、ある言葉を幾度となく言われました。
それは、「もったいない」。
わたしの退職について知った上司に会うたびに言われました。それはもう、何回も、何回も。
でも、ちょっと引っ掛かったんですよね。わたしからすると、「なにが、もったいないんだろう?」って。
きょうはそのことについて、掘り下げてみようかと思います。
誰にとっての「もったいない」?
もったいない!
もったいない!
もったいない!
(こんなのもってのほかですが)
電気も、水も、トイレットペーパーも、タダじゃありません。使いすぎたら、お金の無駄遣いになります。
水も紙も、限りある地球の資源を使っています。 人類が存続という観点で言っても、浪費してはいけません。
もったい‐な・い【×勿体無い】 有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しい 出典:デジタル大辞泉
まさしく、「もったいない」です。
転職って、何がもったいないの?
わたしの場合って、どうなんでしょう。
わたしが「会社をやめます」と伝えると、驚いた様子で理由を聞かれます。
「夫婦で農業をやろうと思っています」と答えると、決まってこう返ってきます。
「辞めちゃうなんてもったいない」と。
確かに、会社をやめれば安定した収入はなくなるので、不安はあります。経験のないことをやる以上、心配はつきものです。
けれど、もったいないとは思いません。
会社で培ったスキルや人間関係が失われるわけではありませんから。むしろ、必ず役に立つだろうとさえ思っています。
“キャリア”をめぐる世代間ギャップ
上層部は「若手の離職が続いているので、下の世代に動揺が…」と心配していましたが、現実は違います。
実際にはこうでした。
先輩たちは、うらやましがりました。
「年も年だし、お前みたいに大きな決断する気になれないなー」「うちは嫁と子どもがいるから、今さら辞められないよ」なんて言って。
同期は、もうほとんど残っていません。
同じ部署の同期は6人いましたが、すでに半数はやめていました。同業他社に移ったり、結婚して退職したり、と。
後輩たちは、特に驚きません。
わたしは30歳ですが、わたしと同世代の同期あるいは年下の後輩たちにとって、転職は当たり前です。
「農業をやる」と話したら、さすがに驚かれましたが、転職そのものへの反応はドライなものでした。
会社目線の「もったいない」
結局、上司がわたしに向けた「もったいない」という言葉って、会社目線で考えている証なんですよね。
つまりは、「せっかく会社のためになる力がついてきたのに、やめちゃうなんてもったいない」ということ。
“会社至上主義”が染みついてしまっていて、わたしが覚えた違和感なんて想像だにしていないと思うんです。
わたしは上司に退職を伝えた時点で、考え直すつもりは一切ありませんでした。
そもそも、「サラリーマン人生におさらばしたい」というのが、わたしが農業で生きていく道を選んだ大きな理由なので。
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今の若手は、自分のキャリアを冷静に見つめています。
それは、会社の中でどう生きていくか、という意味ではありません。長い人生の中で仕事とどう向き合うか、という視点です。(実際のところ、それが“キャリア”の原義に近いと思いますが)
自分のために働きましょうよ
おそらく、どの会社でも、同じような世代間ギャップはあると思います。
名の知れた企業が早期退職を募るというニュースが相次いでいます。
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終身雇用制は事実上崩壊しています。もはや年功序列だってナンセンスです。
その事実に対して、見て見ぬふりをしていると、これから先は危ういんじゃないかと思います。
会社に尽くして、尽くして、尽くして、死ぬ…という考え方は、もう時代遅れなんだと思います。
「働くために生きてるんじゃない。生きるために働くんだ」。わたしの好きな言葉です。
自分のために働きましょうよ。
お読みいただき、ありがとうございました😊
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